イラスト練習をしていると、「お、上達したんじゃない?」と、自分でも成長を感じられる時間が、多くはなくてもまったくないという人はいないでしょう。
しかし、ある程度描けるようになった「脱初心者」をめざす期間こそ、なかなか伸びないギャップに苦しむひとが続出する時期です。
今回はある程度成長して、つぎへと伸び悩むひと向けに「テーマ」の重要性についてのアプローチをしていきたいと思います。
あなたのイラストには、ちゃんと「テーマ」があるでしょうか。
「モチーフ」と「テーマ」のちがい
イラストは、「モチーフ」と「テーマ」でできています。
二つともよくきく言葉ですが、あなたははっきりとした区別ができるでしょうか。
「モチーフ」とは作品でえがかれた『そのもの』。
「テーマ」とは、作品でえがかれた『メッセージ』。
たとえば、桜の絵があったとします。
この絵のモチーフは、「桜」。
テーマは、「桜の花はうつくしい」です。(説明のために暫定の設定です)
「AでBを伝える」という文章で考えると、
Aが「モチーフ」、Bが「テーマ」です。
モチーフは描かれたそのもの。
キャラクターであったり、背景であったり、あなたが描くそのものです。
テーマは、絵の意味。
絵に込められたメッセージを指します。
伸び悩んでいるなら「テーマ」に力を入れよう
さて、そこそこ絵が描けるけど、なかなか伸びない中級者の方。
(画力そのもののこともありますが、ツイッターなどの評価に関しても)
こういったある程度描ける絵描きの伸び悩みは、「テーマ設定」ができていないから、というのが少なくありません。
そこそこ描ける、絵自体に問題はない―――つまりモチーフはしっかりと形どることができているのではないでしょうか。
ただ、テーマがない、またはモチーフと混同している。
絵にメッセージがしっかりと刻まれていないのです。
だからこそ、ひとに訴えかけるものが不足していて、なかなか評価がのびない。
この解決策は、テーマ設定に力をいれる
あなたの絵にテーマを設定する
テーマを言葉にする
テーマを設定するためには、まず、言語化が必要です。
あなたがそのイラストで、伝えたいことを言葉にしてみるのです。
イラスト作成の作業は少なくありません。アタリを描いたり、ペン入れをしたり、色塗りをしたり・・・しかし、それもひとつなぎです。
テーマを言葉にしておくと、その軸がぶれにくくなります。
また、テーマにできるだけ名詞をさけることをおすすめします。
「夏」よりも、「夏は楽しい」「夏の終わりは寂しい」といった具合です。
テーマをモチーフからずらす
テーマを言葉にすることに慣れたら、もう一つ上を目指してみましょう。
イラストのテーマを、モチーフからずらしてみるのです。
言葉が厳しくなりますが(ブーメランでもあります)、「桜」を描いて「春」を表すのは誰にでもできます。
【桜=『春のモチーフ』】なので、「AでBを伝える」という文章であてはめると、「AでAを伝える」となってしまいます。
魅力のある絵は、「桜」を描いて「春」を表現はしません。
桜をつかって「失恋」を表したり、「死」を表すこともできます。
モチーフは「春」でも、テーマは別なのです。
「喜び」を「笑顔」で表現する、「悲しみ」を「涙」で表現する、というのも『モチーフ=テーマ』となってしまい、イラストとしての深みを出すのはむずかしいでしょう。(無理というわけではありません)
モチーフとテーマをずらす、もしくは正反対のものをもってくることで、イラストに深みが生まれやすくなります。
まとめ
「イラストにテーマを」という話は、絵に関してネットで調べたことがある人は、よく見るアドバイスだと思います。
しかし、そのアドバイスだけでは、「テーマを考えて、だから何がいいのか」「そもそもテーマとはなにか」という疑問に悩まされてしまうのではないでしょうか。
そのアドバイスだけでは具体的にどういったことがいいのか、ふわふわしてよくわからない。
今回はそんな方のために、まとめてみました。
まずは、言葉にして考えてみること、つぎに少しずらしてみること。
一歩ずつやってみれば、あなたのイラストにもテーマがしっかりと生まれ、絵そのものに魅力が増すはずです。