「センスのいいイラストを描きたい!」そう思ったことはありませんか?
魅力的なイラストへの評価のなかで、「ハイセンス」という言葉もあります。そんな絵への憧れは貴方に眠っているでしょうか?
今回は「イラストにおけるセンスの定義」と、その磨き方について考えていきます。
そもそも「センスが良い」とは

「センスがいい・悪い」。イラストに限らず、よくきく言葉ですね。服のセンス、文章のセンス、ビジネスセンス―――センスの求められる世界は多岐にわたります。
ではそもそも、「センスが良い」とはどのような状態なのでしょうか。
アートディレクターの水野学さんは、センスを「数値化できないものを最適化する能力」と定義しています。
たとえば、服を決めるとき。「このスカートは、かわいい度30」「あのジャケットはレベル5のカッコよさ」なんて正確な数字はありません。
着るシーンや、一緒にいる人、環境、自分の体型や個性に合わせて、服を選びます。最適な服をえらべる人が、『センスの良い』と呼ばれるのです。
売り上げ1位の服を着たからといって、センスが良くなるわけではありません。
イラストも同じく、「ランキングで1位の絵が一番センスがある」「Twitterで200RTされた絵より、300RTの方がセンスが良い」などと断言すると、「いや、そうとは限らない」という声があがるでしょう。
水野さんのセンスの解釈をイラストにあてはめると、「描くものに合わせて、最適な要素を絵にいれる力」です。
配色・構図・装飾・加工など、描きたいものと自分の個性に合わせて、それを絵のなかに入れていけるかどうか。
また、ひとつ個人的な解釈をいれるなら、センスとは『「好きになってもらう点」を最適化する力』でもあります。
結局のところ、イラストの魅力は「好き嫌い」です。あなたが好きなイラストも、別の人にとっては苦手な絵柄かもしれません。
まったく違う感覚をもった人に、あなたの絵を好きになってもらうのは、むずかしいでしょう。あなたが目指すべきは、『おなじ感覚の人に、好きになってもらえる絵』です。
「好き嫌い」はきわめて個人的です。しかし、イラストセンスを磨くうえでは、大事なものさしになります。
たとえば、あなたの好きなイラスト、その特に好きな部分はどこでしょうか?その部分が、あなたが「あなたのイラストで好きになってもらいたい部分」のはずです。
その部分を最適化していける能力が、イラスト上達に必要なセンスです。
イラストセンスの磨き方

では、そのセンスを磨くにはどんなことをすればいいでしょうか。
「センスがある」が「最適化できている」だとすると、「センスがない」はその逆です。
「最適なものを選べていない」。
なぜ選べないのでしょう?それは、あなたが「知らない」からです。
たとえば、私と音楽好きの友人では、同じ音楽を語るにしても説得力がちがいます。
わたしは「歌詞が」「サビが」くらいしか言えませんが、友人は「Cメロのギターのソロが」「最後のサビのファルセットの切り替えが」など、コメントがピンポイントかつ具体的です。
プロの方だと、より解像度の高い言葉がでてくるのでしょう。「音楽を知らない」わたしと違い、友人は「いろんな音楽を知り、比較して」コメントしているのです。おなじ「いい曲」、でもそれを言うひとの知識量によってその言葉の深みが変わってきます。
知っていれば比較ができるし、選べる。
センスの良い文章を書くためには、いろんな言葉を知っている方が有利です。センスの良い経営者は、いろんなビジネスモデルを勉強しています。センスを求めるなら、「知らない」は不利なのです。
あなたの引き出しが多ければ多いほど、イラストへ昇華ができ、センスのいい絵を描けるでしょう。
もちろんイラストについての知識は必要ですが、大事なのはイラストに関する知識だけではありません。いろんな服を知れば、センスのいい服が描けるし、いろんな部屋を知ればセンスのいい背景が描けます。
星空を見て感動して、星空スカートを描いたり、キャラクターの目を星空のように塗ったり。
大量のインプットが、あなたのイラストを感化し、育ててくれるはずです。
まとめ
イラスト上達において、だれもが「センス」を求めたことがあるでしょう。
しかし、定義があいまいなだけに、その磨き方もあいまいで、もやもやしていたのではないでしょうか。今回紹介したものも、いち解釈です。
しかし、センスを求められる方々(本記事でとりあげた水野学さん、参考文献著者の高橋宣行さん、このブログでも何度か取りあげた千住博さん、など)が声をそろえて、『大量のインプット』を推進している事実を無視はできません。
「イラスト練習は質か量か」の議論はネット上によくみられます。
正直私は「質が重要」派ですが、「量が質をつくる」ことも間違いなくあるのでしょう。
参考文献