イラストを描いた、次の瞬間どこかへアップ。
でもあとから見ると「あれ、なんか変じゃないか」といったん下げる。
そんな経験はないでしょうか。
わたしはあります。
イラストを描くと、どこかに必ず「ずれ」が発生します。
どんなに上手い人でも、発生します。
その点においては、彼ら彼女らと、私たちはまったく一緒なのです。
絵が上手い人と下手な人のちがいは「ずれ」を出さないことではなく、できた「ずれ」に気づいてそれを直せるかどうか。
つまり上手い人に近づくためには、イラストにできた「ずれ」をひとつずつ潰していけばいいのです。
今回はかんたんにできる「イラストセルフチェック」を5こ紹介します。
左右反転する
もっともよく知られていて、みんながやってる方法がこれ。
紙を裏から透かして・・・って絵描きならば、誰もがとおる道でしょう。
むかしから使われていて、今でもよしとされる王道チェックです。
デジタル派であれば、ショートカットキーに「左右反転」を登録をして、常にチェックをするといいでしょう。
ちなみにアナログで描く人は鏡に映す、という手が手軽でおすすめ。
透かせればそれが一番手軽ではありますが、裏に何か描いていたり、透かせられない素材だったりと、いつも裏返しにして透かせられるとは限りませんからね。

遠くから見る
イラストを描く人間というのはどうしても細かいところを見てしまいがちです。
なぜかって細かく見ないと、描けないから。
手を描くときは手しか見ないし、脚を描くときは脚しか見ません。
手を見ながら脚を描く強者絵描きがいたら、個人的にぜひともお会いしたい。
逆にイラストをみる側の人間は、全体をみます。
まずは目を見て「あ、きれい」、脚を見て「もっと長い方が・・・」、そして手を見て「ん?なんかおかしい」、なんて見方は誰もしませんよね。
全体を見て、きれいかそうでないか・好きかきらいかを判断します。
つまるところ「描き手からはなれて見る側にまわる」というチェック法です。
デジタルの人はそのまま縮小したり、サムネをみたりとかんたんです。
ちなみに意外と見落とされがちなのが、ナビゲーター。
これをみながら絵を描く、というのもいいですよ。

アナログの人は絵を置いてぐーっと離れてみましょう。
目のよくないひとはメガネをかけて。
時間をおいてみる
人間の脳というのはおもしろいもので、見える情報が不完全であっても、勝手におぎなってしまうのです。
見えないものを見えると勘ちがいしたり、まちがってるものを正しい、と思ってしまったり。
つまり、けっこういい加減なのです。
とくに長いあいだ同じものを見続けると、ただでさえいい加減な脳はつかれて、間違い探しをすっかりあきらめてしまいます。
そうなってしまえば、なにがおかしいのかどこが変なのか、自分の目で探すのは至難のわざです。
対処法はこうです。
あー疲れたなと思ったら、いったんペンを置いて休けいする。
時間をおくと、「初見とほぼ同じ」状態で、自分のイラストを見ることができます。
新鮮な目で絵をみても、「よくできた!」といえるなら、なかなか傑作かもしれませんよ。
彩度チェックをする
カラーイラストを描いたときは、非常に頼れる手法です。
じっさいに見てみたほうが早いでしょう。
たとえば、つぎの2つの色です。

どっちが暗い色でしょうか。
たぶん、青が暗く見えると思います。
ここで色をとっぱらってみましょう。
グレースケール、いわゆる白黒にしてみます。

あらら、一緒です。
色にだまされていただけで、じつは暗さは全く一緒だったのです。
色だけにたよらず、色の明るさ・暗さも考えてみましょう。
どうにもしっくりこない時は、色を消してみる。
どのイラストソフトにも「色調補正」はついています。
その彩度を選んで、ゼロにする。
「色だけに頼った絵」かどうか、一瞬で区別がついちゃいます。



非公開でアップしてみる
最後の手法は、有名なエミネムさんbotからの紹介です。
絵を投稿した瞬間「自分が描いている絵」と認識が切り離され、「投稿された絵」となる。他人の絵と同じ舞台に立つんだ。そうすると客観的に見ることが出来るわけだな。だから凡ミス対策には完成と思ったら非公開で投稿してみるといい。Twitterに上げるのも同様に有効だぞ。
— 絵の描き方を教えてくれるエミネムさん (@E_minem_san_bot) 2015, 8月 25
この手法も、うえで紹介した「遠くから見る」も「時間を置いてみる」も、つまるところ『客観的に見る』がキーポイントです。
この方法はピクシブなどを使っているひとにはとくにおすすめ。
「投稿した先でどうなっているか」というのは案外イメージするのが難しいですからね。
まとめ
絵を描き終えた瞬間って、完成の快感でいっぱいで、すぐにでもどこかへアップしたいですよね。
描き上げた我が子はかわいくて愛しくて、「だめなところ」ってびっくりするほど目に入らないものです。
ここは可愛がりたい気持ちをぐっとこらえて、旅に出してあげると、少し立派になって帰ってきてくれるかもしれませんよ。
(参考先:How to ‘Proofread’ your Art)