「いつも同じ構図になるんです・・・」。そんな絵描きの嘆きの声をきくことがなくなる日は遠いでしょう。聞いていると、この悩みを持っているのは多くが中級者、そこそこ描けるようになったひとです。
バランスがとれるようになった、でも同じポーズばかり、同じ向きばかり。結果、いつも同じような絵になってしまう。
今回はそんな絵描きさんへの処方箋です。
ちがう構図の絵を描きたい。ではやるべきことはたった一つです。「構図の引きだし」を増やしましょう。
*目次*
同じ構図しか描けない原因
同じ構図のイラストしか描けない絵描きには、2種類います。
1.同じ構図しか頭にないから、描けないひと
2.違う構図は頭にあるけど、画力が足りなくて描けないひと
「いつも同じ構図になる」と悩んでいる人のほとんどが1です。たとえば右向きの構図しか頭にない。だから右向きしか描けない。
ちがう構図が頭に入っているのに描けないひとは、「同じ構図になる」とは悩みません。すでに「上からみた絵が描けない」「横顔がかけない」などある程度、特定の構図で「これが描けない」と悩んでいるからです。
「同じ構図しか描けない」と悩むあなたは、まず構図の引きだしを増やすことが肝心です。
構図の引きだしの増やし方

ほかの構図を描きたいのであれば、勉強・練習が必要不可欠です。それを無視して新しい構図はかけません。
新しい構図があたまに全く浮かばない、そんな絵描きさんはまず、パターンを知ることから入りましょう。たとえば、あおり・ふかん・見返りなどなどおおまかに分けても、構図パターンはたくさんあります。
お気に入りのイラストレーターでもいいし、アイドルの写真でもいい。とにかく良いと思った構図を模写してみてください。
この模写はアタリだけでかまいません。極端ですが、はじめは棒人間でもいいんです。
とにかく「こんな構図の絵が描きたい」というアタリを描いてみる。それが、2の違う構図を知っているひとへの最初のステップです。
さて、ちがう構図があたまに入れるには、それを描く作業が必要です。どんなにへたくそな絵になってでも、むりやり頭に入れて描きださなくてはいけません。
そこそこ描けるというひとほど、新しい構図に挑戦するとバランスの崩れがよくわかるのでくやしいでしょう。つらいかもしれませんが、それでもここからスタートラインです。
描いていると、かならず「想像できない部分」がでてきます。そこが、あなたの弱点です。そこさえクリアできれば、新しい構図の習得です。
「想像できない部分」への対処法
人体構造の勉強
即効性こそありませんが、長い目で見ればこれがもっとも効果がある練習です。ルーミスの「やさしい人物画」や、ジャック・ハムの「人体のデッサン技法
」など、人体を学ぶには良い教本がたくさんあります。
参考記事:
ひとつひとつ疑問をつぶしていく地道な練習が、やがて構図の引きだしだけでなく、より多くの恩恵があなたのイラストに帰ってくることは絶対です。
構図の近いイラスト・写真を探す
「探す」こと自体に手間がかかってしまうことが問題ですが、ぴったりはまる作品を見つければ効果は大きいです。ほかのひとがどんな表現をしているのか、実物はどう見えるのか。
それを知り、じぶんの絵に活かすと勉強の質はぐっとあがります。
デッサン人形やフィギュアを見る
これは全体的なかたちを知るのにおすすめです。ざっとどうなってるのか、だいたいの形はどう見えるのか。
しかし、絵描きが「想像できない部分」は、多くが「細かいところ」です。デッサン人形やフィギュアは筋肉の連動性がないため、細かいところの確認にはあまり向きません。
デッサン人形は、むしろ「構図の引きだしを増やす」ことに向いています。つまり「わからないところの確認」ではなく、「どんなポーズがかっこいいか・かわいいかを探る」。こちらのほうが、デッサン人形の活用法としてはあっています。
まとめ
構図を考えるという工程は、プロでも決して怠れない重要なステップです。なぜなら構図を考えることは、絵の完成図を考えることだから。
その引き出しは、とうぜんながら多い方がいい。画力向上と直接的なつながりが見えないかもしれませんが、イラスト上達にはやはり抜かせない勉強です。
「まずは描いてみる」。けっきょくはどのステップでも同じ勉強法ではありますが、それほど大事なことなのです。