本当に画力アップしたいのなら、「盗む」ことを覚えなさい

dorobou

ピカソのこんな言葉を知っていますか?

「すぐれた芸術家は真似をする。偉大な芸術家は盗む

まちがった意味で解釈する頭の良くないひとが、紛れ込んでいたらよろしくないので、不本意ですがナンセンスな注釈をかいておきます。「偽物を作れ」とはいっていないし、「偽物になれ」ともいっていない。無断転載とかトレスとか模写したものを「自分の絵です」なんていうのは言語道断ですよ。

さて今日は「アーティストの盗みの作法」について、考えていきましょう。

 

無からはなにも生まれない

多くのアトリエ・美術学校で、模写模倣―――つまり「盗み」のスキル―――は必須の授業です。なぜなら、無からはなにも生まれない。オリジナル要素100%の作品は、地球のどこへいっても出会えないのです。

 

「何もまねしたくない人には、何も作れない」画家サルバドール・ダリ

 

天からのメッセージのようにぽーんと頭に浮かんだアイデアも、どんなにオリジナルに見える作品も、みんな同じです。いつか経験した過去のなにかに、必ずどこかが引っ張られています。イラストを描くいちアーティストとして、この事実は頭にいれておかないといけません

むしろ、そう考えると気も楽になります。なにもないまっさらな状態で、できもしない「何か」を作ろうなんてしなくていいんです。そんなこと、まったくもって無意味です。

既存作品を浴びるように見て、たくさんのエッセンスを盗んでくる。それらが集まったら、やっと作品づくりのスタート。冷蔵庫に食材がないと、料理はなにもつくれないのです。

 

いい盗み方と悪い盗み方

さて、「盗むことがなぜ必要か」について少しだけ考えてきました。では、つぎの疑問。
いい盗み方とはどういうものか

最近、この問いに完璧に答えてくれる本に出会いました。ここでひとつ、紹介を。

 


『クリエイティブの授業 STEAL LIKE AN ARTIST “君がつくるべきもの”をつくれるようになるために』

じつは上の画家2人の言葉もこの本から知りました。
(※ダリの言葉は原文をさがして、自分なりに訳したので、本とはちょっとちがいます)

なかでは、アーティストである著者オースティンが、クリエイティブに生きるためのヒントを10個、紹介しています。オースティン自身のシンプルかつ核心をえたメッセージ。
その合い間に、ビジュアル的な図や写真・有名アーティストの名言はさまっていて、ぱらぱらとめくるだけで創作意欲の薪に火をつけてくれます。
本の紹介をしたところで、話をもどしましょう。じつはこの本の最初のヒントが、『アーティストのように盗め!』なのです。盗む必要性や心がまえ、具体的な盗むテクニック、いい盗み方と悪い盗み方。

惜しみなくかかれている「盗むノウハウ」ですが、ここでは『いい盗み方と悪い盗み方』について、ちょっとだけ紹介しましょう。

1.『敬意を払う』⇔『作品を汚す』

2.『大勢から盗む』⇔『1人から盗む』

3.『本質を学び取る』⇔『表面をかすめ取る』

いわゆる「盗みの作法」です。この本に書かれているだけのルールにしたがって、『盗み』続けていけば、いつしか「あなただけの作品」が完成するでしょう。

実際に盗んでみる

よくない盗み方

ここでちょっとだけ、具体例をはさんでみましょう。

イラストレーターの中村佑介さん。CDや本・教科書など、いたるところでイラストを手がける、全国的に有名なアーティストです。

(画集、買いました)

独特な作風にあこがれる絵描きは数たえず。彼から「盗もうとする」絵描きもまた、ネット上でみえる限りで星の数ほどいます。いわゆる『中村佑介風』のイラストです。

じつはこういったイラストについて、コメントをしているアーティストがいます。
中村先生と旧知の仲である、まんが家の石黒正数先生です。

 

結構佑介の影響を受けたイラストをちらほら散見しますけど、どれだけ佑介が試行錯誤してこれにたどり着いたかも知らずに表面だけパクりやがってって思うねん。(玄光社出版『イラストレーション』205号 より引用)

 

さきほどのオースティンの言葉を借りていうならば―――借りずとも、石黒先生のことばをなぞるかたちになりますが―――いわゆる「表面をかすめ取る」盗みです。シンプルでうつくしい曲線とカラフルな色使い、動物と女の子のノスタルジックなモチーフ選び。

 

模写さえできれば、作風をコピーペーストすることはかんたんです。でもできあがった作品は、しょせん「にせもの」どまり。

 

もちろん、模写や模倣はりっぱな上達法のひとつなので、わるいことではありません。むしろとくに効果が大きい練習法なので、ばんばんやっていくべきです。(自分の作品として公表するのはもってのほか)

 

でもそれだけでは、イラスト上達にも、中村さんに近づくのにも限界があります。どんなに上達ししたって、「中村祐介っぽい絵を描くひと」、もしくは「中村佑介のパクリ」です。情熱をかけた結果がこれだと、かなしいですね。

いい盗み方

では、「いい盗み方」にならって、中村さんからなにを盗めるでしょうか。表面的な魅力ではなく、内側―――つまり姿勢であったり、考え方であったり、そのひとの骨になる部分。中村先生のそれはなんでしょうか。

 

わたしは営業努力だとおもいます。すくなくとも、わたしがいちばん盗みたい彼の魅力は「絵を描く姿勢」です。背筋ぴーん、とかではなく。

たとえば。

イラストの最終目標をかかげている
・自分の強みと弱点を理解し、いま現在の課題を把握している
手間をおしまない(線画まではアナログで手描き。同じものを描くときもコピペにたよらない)
・描くモチーフについての研究を怠らない
・どんなにお金にならなくても、後輩支援をおこなう

など

詳しくはこちら↓

プロのイラストレーターに学ぶ、上達のための絵を描く姿勢

2015.10.15

 

こういった一見作品に直接は関係してこなさそうな、なかの部分。こちらを盗むほうが、よっぽど大切だったりするのです。

 

まとめ

優れた絵描きの多くは、謙虚なひとです。その理由で思うのが、「いい盗み」をうまく重ねてきたからじゃないか、ということです。

 

まもらなきゃいけないルールをまもって、迷惑をかけない盗みをする。それを続けていれば、おのずと「みんなのおかげで、わたしはいいイラストを描ける」という意識がすりこまれていきます。もちろん、勘違いしているひとがいないわけではありませんが。

 

「盗ませてくれる」ひとに、作品に、感謝を忘れずがんばっていきましょう。

 

 

 

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