前回に引き続き、胸とおなかの筋肉についてです。
今回はのこりの2つ、腹直筋(ふくちょくきん)と前鋸筋(ぜんきょきん)です。

腹直筋

かたち
おなかの真ん中にあり、一般的に「腹筋」として知られている筋肉です。細マッチョを描くときに重視される、「割れたおなか(シックスパック)」もこの腹直筋のことを指します。
腹直筋は8つにわかれています。たての1本線(白線)と、よこに3本線(腱画)。

この4つの線の基本的な向きを知っておくと、筋肉の描写に役立ちます。


描くときは白線を意識
筋肉が発達しているひとは、上6つの筋肉が目立ち、「シックスパック」と呼ばれる割れた腹筋になります。ただ、ひとによっては左右非対称だったり、とくに女性に多いのがバイオリン型という、名まえ通りバイオリンのようなひょうたん型のひともいます。
個人差のおおきい筋肉ですが、どんなひとでもぜったいにあるのが、中心の線(白線)。この中心の線はとくに体表にも出やすいので、おなかを描くときはぜひとも中心線を意識しましょう。

前鋸筋

かたち

前鋸筋(ぜんきょきん)はあばらから肩甲骨にむかって伸びている、すじ状の筋肉のあつまりです。
しかしそのほとんどが広背筋や外腹斜筋など、ほかの筋肉に覆われて、表面にはほんの少ししか見えません。

筋肉質な男性を描くとき以外はあまり重要ではないように思うかもしれませんが、混乱しやすい筋肉なために存在と表れかたは知っておくのがいいでしょう。
きちんと理解せずにおくと、あばら骨と混同してしまいます。外腹斜筋とからみ合うような、丸みをおびた形状です。

マッチョを描くときには不可欠な筋肉です。細マッチョでも、前鋸筋の描き込みがあると、とたんにあか抜けて見えます。
まとめ
男性を描くときには、筋肉描写がぜったい必要です。多くの人が大胸筋や割れた腹筋を描き込みますが、かたちを理解せずに線だけ入れてしまうと、「ボディペイントでもしてるのか?」というような、不自然な身体になってしまいます。
筋肉がどこから生えているのか、どんな形状なのか。最低限でもこれだけは頭に入れておきましょう。
参考資料
たぶんアーティスト向けの人体デッサン教本では一番くわしい。それくらい厚みがあります。イラスト向けではないかも、というほど細かい情報までのっているので、情報の取捨選択が必要です。