立体感のある絵が描けるかどうか。画力向上において常に重要な課題です。
立体感のある絵をかくには、どうすればいいでしょうか。テクニックなど描き方の工夫で、即効性のある方法もあります。しかし、いちばん大切なのは、やはり立体把握のちからを鍛えることです。
以前にも立体把握のちからを鍛えるための練習法を紹介しましたが、今回はプラスで以前とはべつの練習法を紹介します。
「流れ」と「肩」でかたちをとらえる、という上達法です。
かたちをとらえるために必要なもの
立体感のあるイラストとは、ことばを変えると、形のとれたイラストともいいます。つまり、モノのかたちをとらえる。この過程が、立体的なイラストを描くためには必要になってきます。
では、かたちをとらえるためには、何をすべきでしょう。ポイントは、曲線です。
人間をふくめ、すべての自然物は曲線でできています。自然にできるもののなかに、まっすぐな線はありません。世界には曲線があふれています。
イラストの魅力も、この曲線によって決まるといっても過言ではありません。人間や服、木や花、水や炎――などなど、わたしたちが描く多くは曲線でできているからです。たくさんの種類の曲線があわさり、かたちになります。
つまり立体把握を鍛えるには、かたちをとらえることが、そしてかたちをとらえるには、曲線をとらえることが必要なのです。
曲線のとらえかた
ではどうやって曲線をとらえればいいのでしょうか。ピンポン玉やたまごなど簡単なかたちのものならまだしも、いきなり「腕の曲線をとらえろ!」なんて言われてもできるはずがありません。
では人体など複雑な曲線をとらえるには何をすべきか。答えは、「わけること」です。
人体は、たくさんの曲線の集合体です。そんな複雑なものをとらえるためには、まずかんたんな曲線にわけて考えましょう。
では、どうやってわけるのか?「肩」でわけるのです。ここでいう肩は、人体のパーツのことではありません。
「流れ」、矢印の転換点です。
流れとは、曲線の流れていく向きのこと。そして流れのちがう曲線がぶつかり合うところが「肩」。いいかえれば曲線の変わり目です。

この「肩」と「流れ」で分解して、曲線をみてみる。すると、平面であっても物体のかたちをとることができます。
まとめ
この方法は、漫画家の菅野博之先生が自著「快描教室」にて紹介されている練習法です。わたしの描いたものより、ずっと見やすい見本が載っているので、気になったかたはぜひとも手に取ってみてください。
さて、曲線を描くのがむずかしいのは、「流れの転換」が多いからだと個人的には思っています。流れが同じであれば、描くのはとても簡単です。直線を描き続ければいいだけなのですから。
しかしわたしたちが描きたいほとんどのものは、むずかしい曲線で出来ています。イラスト上達のためには、曲線はさけて通れない道です。そのむずかしさをすこしでも和らげるために、この方法をひとつの武器としてみるのはいかがでしょうか。
参考書籍
その他テクニックも満載なのでおすすめです。