多彩なインプットがなぜ、あなたの画力を向上させるのか。

input

「漫画やアニメだけじゃなく、映画や本、とにかくいろんなものを見ろ」
「部屋に引きこもらないで、外に出かけろ」

イラストレータや漫画家など――プロのクリエイターが、それを目指す後輩に向けて、よく言うことばです。なぜ、彼らは一見かかわりのない活動をすすめるのでしょうか。

「漫画が描きたいなら漫画だけをみてろ」なんて範囲のせまいインプットをすすめるプロを、見たことがないのはなぜでしょうか。

もちろん、それには理由があります。一見かかわりのない活動も、作品づくりに大きな影響をあたえるからです。絵描きであれば、多彩なインプットは、画力へとつながります

今日はその理由についての、おはなしです。

インプットが必要な理由

インプットが必要な理由、それはインプットがイラストの「メッセージ性」をあげるからです。画力を決定づける大きな要因「メッセージ性」、まずはその概要についておはなししましょう。

新・画力決定の要因

そもそも画力の高さとはなんでしょうか。以前の記事で「画力は総合力だ」といいました。そしてそれらは知識・テクニック・経験値の3つにわけることができる、ともいいました。

凡才でも上達したいから画力向上の三大要素を考えてみた

2015.04.24

しかし絵の本質について考えると、3つの力以外にもうひとつあるのではないか、というのがいまの考えです。さいごのひとつ、それが「メッセージ性」です。

絵の本質

そもそも絵とは、だれかになにかを伝えるものです。

資料をわかりやすくするなど事務的なテーマ・平和の尊さなど切実なテーマから、作品のおもしろさやキャラクターのかわいらしさという二次創作のテーマまで、すべての絵はなにかを伝えるために描かれます。

魅力のある絵と、つたない絵の差は、「伝えたい感動が、十分に伝わるかどうか」です。

絵を描く技術」と、「伝えたい感動」。この2つがちょうど良く合わさったとき『感動が伝わる絵』、すなわち『魅力的な絵』となります。いかに「絵を描く技術」を持っていても、「伝えたい感動」がないイラストは、どうも薄っぺらい印象となってしまうのです。

絵を描く技術」は以前はなした、3つの要素と、かかわりが深いものです。そしてもうひとつの「伝えたい感動」、すなわち「メッセージ性」。これと繋がっているのが、インプットです。

 

絵の内容を育てる

絵を描く秘術」と「メッセージ性」、画家の千住博さんはこの2つを「」と「内容」と呼び、こう話しています。

技巧とは、器のようなもの。巧み、と感じさせると、それはいわば大きな器のなかに隙間が目立ち、内容が希薄と感じさせてしまいます。技巧が育てば、より大きな器が手に入ったようなものですから、その器に合った内容を育てていかなくてはなりません。本を読んだり、人と話をしたり、自分を突き詰めてみたりして、身についた表現技術で表すことができる許容量に見合うそんな”内容”を身につけたいものです。(祥伝社新書「芸術とは何か 千住博が答える147の質問P53より引用)

また、作品を描くうえではこうも言っています。

(究極の作品として滝を描くためには)どこかのタイミングで、ハワイ島のレインボーフォールやアルゼンチンとイグアスの滝に行っていなくてはなりませんでしたし、年月をかけて日本画の技法を習得しなくてはなりませんでした。(P128より)

 

以前、アメリカのとある漫画の1コマが、すばらしいと注目をあつめました。内容は、クリエーターの男性と、男の子の会話です。男性が描いたイラストをもって、男の子が興奮気味にいいます。

少年
すごい!たった15分でこんな絵が描けるの!?
そのことばに、男性は返しました。
男性
いいや、30年かかったよ。
このことばは、「30年描き続けて、そのすえにようやくここまで描けるようになったのだ」という解釈が一般的でしょう。絵を描くものとしては、まさにそれが真理です。

しかし千住さんのことばをふまえると、もうひとつの意味が見えてきます

男性は30年絵を描くと平行して、多くを学んできたはずです。絵を描き続けた技術が「器」となり、同時に大量のインプットが「内容」となった。だから15分で「魅力的な絵」を描くことができたのではないでしょうか。

 

まとめ

さいごにもうひとつ、千住さんのことばを紹介させてください。

海外へ旅行に行き、絶景を目にするかもしれませんし、新しい友人と出会い、刺激的な会話を交わすかもしれません。通りかかった公園で美しい光景を目にするかもしれませし、本を読んで感銘を受けるかもしれません。

そのひとつひとつが積み重なり、そのなかでもどうしても忘れられないで残ったものーーそれが描くに値するモチーフです。(P134より)

感動と出会えたとき、「伝えたい」と思うのが、人間です。そのメッセージを、絵で伝えるのが、絵描きです。ひとつでも多くの「感動」と出会うためには、やっぱりひとつでも多くのインプットが必要なのです。

漫画やアニメでも、たくさんの感動と出会えるのはまちがいありません。しかしその範囲や種類に、限界があることもまちがいないでしょう。

イラスト上達をしたいなら、少しでも多くのじぶんの「感動」を見つけることが必要です。そのためには、食わず嫌いをしているひまなどないのです。

参考書籍

モチーフについて、絵を描くための日常の過ごし方について、参考になる点が多くあります。おすすめです。

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