イラスト上達の壁は、絵描きのレベルによってその大きさがかわってきます。
上手くなればなるほど、より大きな壁にあたってしまうのです。
今回は上手くなればなるほどあたってしまう、『イメージの壁』と、それを打破する『イメージ描き』についてです。
上手い絵が描けないパターンは2つ
以前、イラストを描く3つのステップについてお話ししました。
まずはすこし復習をしておきましょう。
1.見る【入力】
2.イメージする【想像・変換】
3.描く【出力】

さて、絵がうまく描けないパターンは大きく分けて2つです。
- まず、「描くための技術がない」場合。→【出力】の力不足
- 2つめに、「頭のなかにイメージがない」場合。→【入力】と【想像・変換】の力不足
【出力】の力が足りないならば、とにかく道具に慣れることです。
線がガタガタだったり、色塗りをはみだしたりなど、【出力】自体の問題はほとんどが経験不足によるものです。これらは「慣れ」によって、自然と解決します。
問題は、【入力】と【想像・変換】の力です。こちらは自然に解決するのは一定のレベルまでで、そこから先は意識して鍛えないとなかなか成長しません。
たとえば資料をまったく見ずに、手癖だけで描いていると、頭のぼんやりとしたイメージが、矯正されることなくどうどう巡りになってしまいます。

また、資料を見ながらなら描ける、という絵描きもいます。
このような絵描きは、イメージしたり、アレンジしたりすることをほとんどせずに、見たままをそのまま紙へ移す作業を繰り返しています。
資料から入力して出力という答え合わせがあるため、『見る力』が鍛えられ、知識がたまり、上達します。
しかし、うまくなればなるほど、この方法だけでは、壁にあたってしまいます。いわゆる「何も見ないで描けない」問題です。

さらなる画力向上のためには、【想像・変換】の力の強化が必要不可欠です。
そのためにも、イメージ描きのマスターを目指すことが重要になります。
イメージ描きとは何か
簡単にいうと、『頭のなかのイメージをそのまま紙に描く』描き方です。
3ステップのなかで注目すべきは【想像・変換】です。
イメージ描きとは、2の【想像・変換】、「イメージする」ステップのイメージを強力にもち、それを【出力】作業へ直結させるものです。
しかし、言葉のようにはなかなか上手くいきません。
【想像・変換】から【出力】への連動はかなりむずかしいものです。
やり方
絵描きであれば、ちゃんとした作品を描こうとするときには、だれもがぼんやりしたイメージは持っているはずです。
イメージ描きでは、そのイメージの抽出に力を入れます。
イメージが浮かべば、すぐにでも描いてみたくなりますが、『イメージ描き』を習得をめざすなら、あやふやなままで線を描いてはだめです。
確固たるイメージができるまで目をつぶって、頭のなかで完成イメージを練り上げます。
完成のイメージが見えたら、すかさずそれを紙へと落とす。
デジタル派のひとも、はじめはアナログで描いてみるのがおすすめです。
描いているうちにイメージがぼやけてしまうので、そうなったらまた目を閉じて、もう一度絵の完成図を作りあげます。
はじめは時間もかかるし、思うような絵もできないでしょう。
しかし、これをくり返していくことで、【想像・変換】が鍛えられ、【出力】作業へと直結させることができるようになるのです。
まとめ
イメージ描きの目指すポイントは2つです。
- 1つは「頭のなかのイメージ」を確固たるものにすること。
- 2つは、そのイメージを腕に同期させること。
はじめのうちはどうしても、『いま描いている絵』にじゃまされて、イメージがあっという間に崩れてしまいます。
そのたびに目をつぶって、頭のなかで完成させること。
イメージ描きをはじめると、今までとは、「描き方そのもの」が大きく変わってきます。
同じ「絵を描く」という行為でも、根本的に違うことに挑戦しているのです。
だからこそ、はじめは絶対に上手くいきません。初心者に舞い戻ったような気分にもなります。
しかし、感覚を掴めば、その途端におどろくほどの上達が手に取るようにわかるはずです。
「描き方そのもの」を変えるということは、決して簡単ではありませんが、その実りは信じられないくらいに大きいものです。
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