イラスト作業のBGMに、なにかを流すという絵描きは多いでしょう。お気に入りのアニメであったり、思い出のゲームのサントラだったり、好きな歌手の歌であったり。
しかし作業効率を求めるときに、「好き」をBGMにしてしまうことは、いささか危険です。なぜなら好きな曲ほど、作業妨害BGMとなってしまう可能性が高い。
いつのまにか熱心にストーリーを追っていたり、リズムや歌詞にのせられ聞き入ってしまったりなど、経験があるのではないでしょうか。
なんで集中できない?
「好きな音声や曲」が作業に向かないのは理由があります。好きなもの、それは「じぶんに関係している」からです。
「自分に関係する情報」、じつはこれが集中力の最大のおじゃま虫なのです。
カクテルパーティ効果という心理学のことばがあります。カクテルパーティのようにがやがやとした空間でも、じぶんの名前や興味のあるはなしは自然と聞き取れるという現象です。
たとえば街中や電車内などの騒がしい場所でも、じぶんの名前が呼ばれたり、興味のある話をしているひとたちがいると、自然と聞き取っていますよね。
このようにわたしたちの脳は、じぶんに関係する情報―――つまり得るべき情報を、多くの音のなかから無意識に拾ってくれるのです。
非常に便利な、無くては困るほどの大切な機能ではありますが、この性質がイラスト作業のじゃまをしてしまいます。
「好きな音楽や曲」は「じぶんに関係する情報」となります。つまりどれだけ作業に集中しようとしても、脳が音声を勝手にひろってしまうのです。
このように「音をひろう仕事」に脳が動いてしまうと、そのぶんイラスト作業に動いてくれなくなるので、作業効率がおちるのは当然です。
集中力をあげる作業音とは
では、どんな作業音がいいか。答えは、「じぶんにまったく関係ない音声」です。
リズムや変化のない一定の音―――たとえば、雨・波のような自然音や、ホワイトノイズ(テレビの砂嵐のおと)などです。
ホワイトノイズはお母さんのおなかの中の音に似ているため、「赤ちゃんに聞かせると泣き止む」というのは有名な話です。
作業効率アップや睡眠導入として、ホワイトノイズ発生器も売られているとのこと。(日本ではマイナーですが、アメリカでは流通しているそう)
自然音もとくに水の音は、脳にアルファ波を発生させる効果があるともいわれています。わたしたちがリラックスしている状態のとき、脳波はアルファ波になります。
アルファ波にはリラックスの効果とともに、脳が活性化するなどの効果があるため、作業に向いている状態というわけです。
たった1つのおすすめBGMサイト
そんな説明をつづけてきましたが、さいごにおすすめBGMを紹介しておわろうと思います。紹介するのはたった1つ、「Noisli」です。

NoisliはBGMアイコンを押すだけでその音声が流せるBGMアプリです。
流せるBGMは上から順に、
雨音、かみなり
風、森
葉っぱの揺れる音、川
波の音、水の音
暖炉、夜(虫の鳴き声)
カフェ、電車
ファン(送風機)、ホワイトノイズ
ピンクノイズ、ブラウンノイズ
の16種類。
おもなメリットは以下のものです。
- 操作がかんたん。
- ブラウザでの使用は無料(iOSデバイスでは有料アプリ200円)
- 音量を調節したり、BGM同士を組み合わせたりなど自由自在。たとえば森と夜を組み合わせて「夜の森」など。
- 音声が途切れることなく、流れつづける。リピートの作業も不要
まとめ
たかがBGM、されどBGM。たのしい作業のためにはBGM選びが欠かせない、という絵描きは少なくないはず。
もちろん、好きな曲を流しながらのイラスト作業を否定するつもりはありません。時間をかけても楽しんで描けるなら、絵描きとしていちばんの幸せだとおもいます。
それでも締め切り前だったり、どうしてもその日中に完成させたかったり、作業効率を求めたいという日が、まったく来ない絵描きはいないでしょう。「今日がそんな日」というあなたは、いったん「好きな曲」は置いといて、理想の作業音を流してみるのはいかがでしょうか。