配色。イラスト作成のなかでも、特に悩むことが多い項目のひとつではないでしょうか。
とくにデジタル派のひとにとって、つかえる色は無限に存在します。どの色もきれいで美しい。しかし、「あれもいい、これもいい」とぜんぶ拾いあげてしまうと、ただの目に痛いイラストや焦点の定まらないごちゃっとしたイラストになってしまうのがおちです。
今回は、どの色を使ったらいいかわからない方へのグラデーションパレットのすすめです。
グラデーションパレットのつくり方
色塗りでもっとも大切なことは、メインカラーを決めることです。きほんは、2色もしくは3色。メインとなる色がそれより多いと、ごちゃごちゃ絵は不可避です。上級者が狙ってやるときれいにまとまりますが、初心者がやるとただの拙い配色になるので、慣れないうちはこのルールにしたがいましょう。

メインは好きな色で構いません。しかし原色や蛍光色など強い色は、初心者向けではないので注意。上手い人がつかっても、目がちかちかするイラストになるのは確実です。

さて、メインカラーを決めたら、さっそくパレットを作ってみましょう。
つくり方はかんたんです、2つの色を混ぜるだけ。これで完成です。ここから、スポイトツールで色をとり、絵に塗っていきます。

グラデーションでできた色を塗ることで、全体的な統一感が出てきます。

差し色
また、このパレットとはべつの、第3の色・『差し色』についてもお話ししましょう。この差し色は、グラデーションで統一された色合いを、わざと崩す色です。そのため絵のなかでもとくに目立ち、目を引く色となります。この差し色を上手くつかうことで、絵の印象をきゅっと引き締めることができます。たとえば、草原にさく赤い花のような存在です。

差し色は、メイン2色よりも小さい面積であることが必須です。メイン2色に張り合うほどの面積をもつと、3つめのメインカラーとなってしまいます。その際は『差し色効果』は表れません。
差し色には、ある程度彩度の高い色をつかっても――面積にもよりますが、あまり違和感なくなじみます。それでもやはり原色は扱いづらいので初心者にはおすすめしません。
まとめ
色塗りの上手さは大きくわけて、「配色」「影」「ハイライト」の3つできまります。配色は、とくにそれだけでイラストの印象を左右してしまうもっとも大きな要素のひとつです。
たしかに色鮮やかなイラストは惹かれます。たくさんの色を使っているのに、きれいにまとめることのできるプロはたくさんいます。しかし彼ら彼女らは、自然と色の取捨選択ができているのです。
取捨選択ができないうちから、つかえる色が無限にあることは決していいことばかりではありません。からこそ、制限をかけてみる。慣れてきたらその制限を少しづつ広げていく。いきなりすべてを使いこなそうとするのではなく、手順だててこなしていくほうが、あの絵師たちに近づけるのは早い気がするのです。