絵の練習に飽きるなら、ドーパミンを出そう!分泌のための3ステップ

「高いモチベーションをもって、集中して、絵の練習をばりばりしたい!」と思っている絵描きは多いでしょう。しかしその裏には、なかなか集中できなかったり、ついだらけてしまったり、という上手くいかない日常が潜んでいるはずです。

やる気や集中力、作業効率。このような、練習に関する人間の能力については、多くの研究がされています。

今回注目したのは、脳科学。脳がどうやって、これらの能力を出しているか、どうすれば能力を高められるか、という具体的な方法が、近年の進歩によってかなり解明されています。

脳内には、50以上もの脳内物質があります。たとえば、アドレナリンやセロトニン、ドーパミン。名前だけなら聞いたことがありますよね。

これら物質は、あなたの感情をつくります。つまり脳がどの脳内物質を出すかによって、あなたが感じる「楽しい」「怖い」などの感情が変わってくるのです。

今回は「楽しい・わくわく」をつかさどるドーパミンを出すステップをお教えいたします。ドーパミンを上手くだすことで、イラスト上達の一歩につながるはずです。

 

明確な目標設定をする

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ドーパミン分泌の最初のステップは、「目標」をもつことです。このサイトでも何度か「目標の重要さ」には触れてきましたが、じつは脳科学的にも正しい方法なのです。

ドーパミンが出るタイミングは2つ。目標設定のときと、目標達成のとき

たとえば宝くじを買うとき、旅行の計画をたてるとき、まだ目標は達成していないのに、わくわくしているはずです。これは動物実験でも証明されています。

マウスを「ランプが点灯すると、エサが出る装置」の近くにおきます。何度か繰り返しているうちに、マウスは「ランプが光るとエサがもらえる」ということを覚えます。その実験では、「ランプが点灯したとき」と「エサがもらえたとき」の2回、マウスの脳内にドーパミンが出たことが認められたそうです。

これを人間にあてはめれば、「目標設定のとき」「目標達成のとき」の2回です。あなた自身が目標を設定して、それに向かって努力することで、ドーパミンは分泌されます。そして目標を達成したとき、さらにドーパミンが出て、画力とともに、やる気と楽しさもぐんぐんと成長します。

 

「目標を達成したとき」をイメージする

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目標をはっきりとイメージすることは、ドーパミン分泌をさらに促します。

逆に、イメージできない目標をもっても、なかなか実現はできません。脳内に思い描けないと、ドーパミンも出てこないので、やる気もでず、行動もできず、ただの「妄想」で終わってしまいます。

そうしないためにも、目標は細かくイメージしましょう。

たとえば、

・ツイッターであなたのイラストが何100もRTされている様子
・イラストの仕事の依頼メール
・pixivであなたの作品がランキングに入っているページ
・ファンからの称賛のメール

あなたの目標を達成したときの周りの状況を、どれだけ鮮明にイメージできるか、どれだけワクワクできるかによって、ドーパミンの分泌量はかわってきます。その量が増えるほど、目標達成率もあがってくるはずです。

 

練習を楽しむ

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練習を楽しめ」という言葉は、いろんなところで聞くでしょう。脳科学的にも、楽しいと思いながらする練習はドーパミンが出て効果もぐんぐんあがります。脳は一度「快」の刺激をうけると、さらにそれを貰おうとドーパミンをだすのです。

 

「楽しい」と思えるイラスト練習をすると、脳が勝手に練習をもとめて、「明日も絵の練習がんばろう」という気持ちが自然にわいてきます。その結果上達が後押しされ、画力が上がり、またドーパミンがでて練習が続きます。まさに上達のスパイラルです。

 

苦しい練習をするな、という意味ではありません。むしろ楽な練習ばかりににげていては、ずっと「1+1=」の問題をとき続けるのとおなじで、あたらしい技術は身につきません。

しかし、どんな練習のなかにも、「楽しさ」を取り入れることは可能です。「楽しく練習するための方法」をいくつかお教えしましょう。

 

ちょうどいいレベルを描く

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ドーパミンを出すためには、ちょうどいいレベルの練習をする必要があります。むずかしすぎても、かんたんすぎてもドーパミンは分泌されません。簡単すぎると脳がなまけてしまい、むずかしすぎると理想とのギャップにやる気がけずれてしまいます。

イラストのトレスばかりしていても、効果は高くありません。また理想のイラストを模写するために、神絵師の絵をもってくるのはいいですが、ずっと続けていると無力感からドーパミンが出なくなってしまいます。

すこし頭をかかえるレベルの練習がちょうどいいのです。

たとえばトレスは、線をなぞるだけでなく、見えない部分も考えながら描き足したり。神絵師のイラストがあまりにレベルが高すぎるのであれば、あなたより少し上のひとのイラストを模写するのもひとつの手です。

 

『ごほうび』を設定する

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練習をがんばるために、じぶんへの『ごほうび』を用意しましょう。この練習をがんばったら、お菓子を食べていい、とかゲームを30分してもいいといった感じです。

この『ごほうび設定』は、脳に「快」の刺激をあたえて、ドーパミンをだすために効果的です。

ごほうびを得て満足したら、また練習をはじめましょう。そのとき「次の練習もがんばったら、このお菓子も食べてよし!」と設定すると、脳はまたその「快」をほしがるためにドーパミンをだしてくれます。

「今日はがんばったから、このお菓子をたべよう」というように、頑張ったあとに、ごほうびを考える方は多いですが、じつはドーパミンにはあまり効果がありません。

がんばる→ご褒美設定』ではなく、『ご褒美設定→がんばる』のほうがドーパミン分泌には効果的です。

 

アレンジ練習法

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ドーパミンは『アレンジ』がだいすきです。ひとから「同じことをやりなさい」といわれても、やる気が起きません。「この方法をもとに、好きなアレンジを加えていいよ」といわれると、ドーパミンは分泌されます。

あなたがイラスト教本や講座をそのとおりにやってみて、三日坊主をくりかえしてしまうのはやり方が原因なのです。工夫やアレンジがまったくないと、ドーパミンは出ずやる気もおこりません。

教本のとおりではなく、あなたなりのアレンジを加えて練習法をあみだすと、脳はそれに応えて、ドーパミンをだしてくれます。

 

まとめ

脳はチャレンジが好きです。チャレンジして、達成する、その過程にドーパミンがでて、「ワクワク感」を生みます。

だからこそ、常に「チャレンジとなる練習」を続けていくことが重要です。かんたんなことばかり繰り返していても、ドーパミンは出ず、楽しくなく、画力もあがらずじまいになってしまいます。

画力が上がったさきに幸せがあるのではありません。上達のために重ねるチャレンジにこそ、「楽しみ」はあるはずです。