画力向上には全身の絵を描くことが必要不可欠です。
しかし、バストアップや顔を主に描いてきたあなたにとって、脚(足)を描くというのは難関に間違いないでしょう。
今回は全身イラストにおいても、とくに重要な脚の構造についてです。
脚はとくに筋肉が多いパーツ。いくつかの記事に分けて勉強していきます。
脚のきほん構造
まずは、根幹となる足の骨について簡単にみていきましょう。
脚の骨は大きく分けると、「骨盤」・「上腿(膝より上)」・「ひざ」・「下腿(膝より下)」の4つでわけることができます。
イラスト初心者のうちは、骨の名称や形をすべて覚える必要はありません。
ただ、より正確なアタリを取るためにも、簡略化した形だけは覚えておきましょう。

ポイントは2つ。
まず、上腿(太もも)の骨は、骨盤の斜め下からはえていることです。
よくありがちな初心者ミスで、骨盤の真横に脚のつけ根をつくってしまうものがあります。
これだと腰からお腹への流れが不自然になってしまうので、脚の関節は位置を注意しましょう。
2つめのポイントは、骨が斜めに生えていることです。
とくに上腿の骨はかなりの角度がついて、下へ降りています。
垂直にしてしまうと体重がかかっていない不自然な足になるので、注意が必要です。
つぎに、脚の筋肉です。前と後ろで、ざっと色分けをしてみました。

さて、筋肉の勉強のまえに、注目しておきたい部分があります。
「前」の膝から下へのびる水色の部分。
これは筋肉ではなく、骨です。
膝と、すねは筋肉がついておらず、骨がそのまま体表にあらわれます。
じっさいに、じぶんの足を触ってみると、硬いですよね。これは筋肉ではなく、骨がそのまま出ているからです。
筋肉がついていないので、すねは比較的直線的です。(完全に直線ではありません)
あまり丸く書きすぎないよう注意しましょう。
殿筋群
いわゆる「お尻の筋肉」です。
大腿筋膜張筋・中殿筋・大殿筋の3つからなります。(本当は4つめに小殿筋という小さな筋肉が奥に隠されています)
筋肉が発達したひとは、この3つがそれぞれ形が見えるそうですが、ほとんどの人はこの筋肉が脂肪におおわれ、全体的に丸い形に見えます。
ひざ下までぐっと伸びているのは、厳密にいえば大殿筋群ではなく、腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)というじん帯です。

上の大腿骨ではなく、下の脛骨にくっついているのが特徴です。
殿筋群はお尻をおおう筋肉で、その延長線が腸脛靭帯です。
お尻の筋肉がひざ下までつながっている、と知っておくだけでも、脚の流れが理解しやすくなります。
四頭筋軍

男性の、むきっとした太もも。それを形作るのがこの四頭筋群です。
こちらも大殿筋群とおなじように、4つの筋肉からできているのですが、表面のかたちに見えるのは3つです。
外側広筋、大腿直筋、内側広筋。
3つの筋肉ではありますが、体表には全体がひとつの円柱のようなふくらみとして現れます。運動選手のような体型のひとだけ、はっきりと3つに分かれてみることができるのです。
隠れている中間広筋もふくめて4つの筋肉はすべて、ひざの骨に流れてつきます。
膝の上のふくらみは、この四頭筋群です。
詳しく見てみましょう。
水色になっている部分は、『腱』(骨と筋肉をくっつける結合組織)です。
厳密には筋肉ではないので、この部分は伸び縮みはしても、筋肉ほど著しい発達をしません。

ひざの骨は小さいものですが、この腱が伸びており、全体が表面から「ひざ」に見えます。
ひざを描くためには、腱の存在も一緒に覚えておきましょう。